肩こりの原因の1つ”食いしばり”

食いしばりが肩こりにつながる

噛む力が首にかかるため、首の痛み・肩こりの原因になります。食いしばりだけでなく、口を閉じているときに上下の歯が少し接触しているだけでも影響します。

あごから全身に影響

噛む筋肉はあご周辺~側頭部にあるため、左右の噛みグセによりあごが引っ張られて顔がゆがむ・顎関節症を始めとしたあごの痛み・側頭部の緊張性頭痛・エラが張る、などの噛む筋肉に直結した症状も出ますが、首・肩まわりはもちろん全身の筋肉にも力が入ります。
いつも肩に力が入ってしまったり、体の力が抜けない方は、食いしばるクセがないか確認してみてください。

食いしばったり噛み締めているほどでなくても、上下の歯が少しでも接触していると首に力が入ってしまい、噛む力の強度や接触時間の長さにより影響も変わります。

また、顎関節症・肩こり・緊張性頭痛の他にも、緊張した筋肉が神経を圧迫するため・めまい・耳鳴り・視力低下などの一因になります。

噛む筋肉

噛むという動きは咀嚼筋の働きによる動作で、その大半を「側頭筋」「咬筋」が担っています。

咀嚼筋(そしゃくきん)
咬筋(こうきん)・側頭筋(そくとうきん)・内側翼突筋(ないそくよくとつきん)・外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、4つの筋肉を総称して咀嚼筋と呼ぶ。

強力な噛む力を発揮するのが咬筋・側頭筋で、 内側翼突筋・外側翼突筋 はその補助の役割。
(内側翼突筋と外側翼突筋は深い位置にあるため外から見えない)
咀嚼筋

目覚めたら首がこっている

枕や寝相に問題がないはずなのに、目が覚めた瞬間から首がこっていることがあります。
寝ている間に歯ぎしりをしていなかったかを確認しましょう。
(スマホアプリで「いびき歯ぎしり アプリ」で検索すると、睡眠中の音を記録するアプリがあります。)

歯列接触癖(TCH)

上下の歯を持続的に接触させる癖のことを歯列接触癖とといい、『TCH(Tooth Contacting Habit)』といいます。

食いしばり禁止

歯列接触癖の確認

唇を閉じて、上の歯と下の歯が一部でも接触していたら歯列接触癖の可能性があります。
上の歯と下の歯が全て離れていれば問題ありません。
例えば「右の奥歯だけ接触している」という場合、首右側の筋肉が硬かったり、しこりがあることがあります。

歯列接触癖の原因

無意識に力が入ったまま継続してしまう

運動や仕事で力を入れるとき、ストレスがかかっているとき、集中しているときなどは無意識に食いしばります。
そういった時間が長いと、解除されずに力が入りっぱなしになりクセになります。

夜間低血糖

歯ぎしりにはノルアドレナリンの抑制効果があり、夜間に血糖値が低下するとノルアドレナリンというホルモンが分泌されるのでそれを抑制しようと歯ぎしりが生理現象として起こります。

夕飯の炭水化物(糖質)の量が多いと、血糖値を下げようとインスリンが分泌されて低血糖状態になります。下がりすぎてしまうので今度は血糖値を上げようとノルアドレナリンが分泌されます。さらにノルアドレナリンを抑制しようと食いしばりが発生します。
また、夕飯の時間帯が遅いと、消化が追いつかず睡眠中に胃酸が逆流するので、中和のために唾液を出そうとしてあごを動かすので咀嚼筋が余計に働いてしまします。

対策

1.唇を閉じる+歯を離す

とにかく歯を離すことを意識しましょう。日常で食いしばりは発生するものですが、習慣化しないようにする必要があります。
「気づいたら歯を離す」

2.噛む筋肉のマッサージ

4つある噛む筋肉のうち、触ることができる側頭筋・咬筋をセルフマッサージして物理的にゆるめます。

側頭筋と咬筋の画像
咬筋の層になった部分は特に硬い

3.マウスピース

睡眠時の歯ぎしりには、マウスピースを歯科で成形してもらうのがベストです。

4.ボトックス注射

歯科にて保険外の治療になりますが、顎の筋肉へのボトックス注射により筋肉を緩ませられます。

まとめ

  • 歯ぎしりは肩こりの原因の1つ
  • 日常ではすべての上下の歯が離れているのが望ましい
  • 噛み締めは場合により必要だが常態化するのが良くない
  • 歯を離す意識とセルフマッサージでケア