つらい肩こりを解消するには、こっている部分だけマッサージしてもすぐ戻ってしまいます。
肩こりの原因になっている筋肉の多くは肩甲骨に付着しているため、肩甲骨ごと調整する必要があります。
肩甲骨はがしとは、「肩甲骨周辺のストレッチ」です。※肩甲骨が実際に剥がれるわけではありません。
肩甲骨は”肩甲上腕リズム”という上腕骨との連動がありますので、肩甲骨の動きが悪いと肩が上がりづらくなってしまいます。
肩甲骨がスムーズに動ければ肩関節の可動性が上がるため、主に肩こり・巻き肩・四十肩へのアプローチ法として用いるのが肩甲骨はがしです。
肩甲骨の動きが悪くなる理由
- (肩甲骨の)運動不足
- 腕の使いすぎ
- 常に胸式呼吸
- 脱力が苦手
肩甲骨の動き
肩甲骨は肋骨(ろっこつ)の表面をスライドするように動きます。
動きの基本軸は上下・左右・回旋の3つです。
- 上下…肩をすくめる・肩を引き下げる
- 左右…肩甲骨同士を寄せる・開く
- 回旋…脇を開く・閉める
挙上:肩をすくめる
いかり肩のように肩甲骨を持ち上げる動きです。肩をすくめる姿勢で、身体の脱力が苦手な方に多い傾向があります。

下制:肩を引き下げる
挙上の逆で、肩甲骨を真下に引き下げる動作です。首が長くなり、なで肩になります。

内転:肩甲骨同士を寄せる
胸を張ると肩甲骨の内転になります。この動きは腰が反ってしまうため、良い姿勢ではありません。

外転:肩甲骨同士を開く
肩甲骨同士を開く(離れさせる)のが外転です。胸部の筋肉が硬くなっている可能性が高く、猫背になります。

上方回旋:脇を開く
脇を開いていく動作が上方回旋です。

下方回旋:脇を閉める
「休め」の姿勢で手を組むなど、肩より低い高さで手を合わせると下方回旋です。

6方向/3軸の動きを説明しましたが、この動きを他動的に行うのが肩甲骨はがしです。慢性化した肩こりや40肩などの改善への土台作りとなります。
肩甲骨はがしでストレッチする筋肉
肩甲骨周辺だけでなく、背中・上腕までの範囲にわたる筋肉が関連します。
- 僧帽筋
- 菱形筋
- 肩甲挙筋
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
- 大円筋
- 肩甲下筋
- 前鋸筋
- 上腕三頭筋
- 三角筋
- 烏口腕筋
- 小胸筋
- 大胸筋

肩甲骨はがしが難しい場合も
肩甲骨が肋骨に張り付くほどガチガチに固い場合、肩甲骨の内側に指が入らず肩甲骨はがしができない場合があります。
小胸筋が硬いと肩甲骨はがしが困難
小胸筋は肩甲骨の前側にある烏口突起という部分に付着しています。
烏口突起に付着している小胸筋が硬く緊張状態になると肩甲骨が前方に引っ張られます。
そして肩甲骨が肋骨に貼り付いた状態となり可動性が低下してしまいます。

肩甲骨はがしが難しい場合は胸の筋肉をストレッチ
小胸筋の緊張が強い場合は無理に肩甲骨はがしをおこなわず、小胸筋へのアプローチに切り替えます。
また、小胸筋と大胸筋は二層でセットになっているため、大胸筋も同時にアプローチします。
セルフストレッチも必要です。

まとめ
- 肩甲骨はがしとは「肩甲骨周辺のストレッチ」
- 肩甲上腕リズムにより肩甲骨と上腕骨は連動
- 肩甲骨の動きは3軸(6方向)
- 肩甲骨に関与する14の筋肉がターゲット
- 肩甲骨はがしができない場合は胸の筋肉をゆるめる