変形性膝関節症(へんけいせい-ひざかんせつしょう)
変形性膝関節症(Osteoarthritis)は、膝関節の軟骨が徐々に磨り減り、骨同士が直接接触することで痛みや炎症が生じる慢性的な疾患です。これは特に中高年の方に多く見られ、膝の痛みや可動域の制限、O脚姿勢を引き起こします。
変形性膝関節症の症状
- じっとしていても痛む
- 動作開始時の痛み
- 下り階段で痛む
1.じっとしていても痛む
じっとしていても痛むことを安静時痛といいます。
この時期は炎症症状(腫れ・圧痛・熱感)がみられ、変形の進行中に顕著です。
この症状は数週間から数ヶ月継続します。
腫れて患部が熱を持っている場合はアイシング
炎症症状がある場合は保冷剤などで冷やします。
まず左右の膝を同じ場所を同じ手で触れて比較し熱感を確認します。
温度に左右差があった場合、保冷剤にタオルを巻き10分アイシングしましょう。
30分後に再度熱感を確認し、まだ左右差があればアイシングをします。
これを左右の温度差がなくなるまで繰り返します。
2.動作開始時の痛み
炎症が落ち着いた変形性膝関節症によくみられる症状として、一歩目の痛みがあります。
起床後すぐのタイミングや、イスから立ち上がって一歩目が痛むといった症状で、歩き出してしまえば痛みはおさまるので歩くことはできるという状態です。
3.下り階段で痛む
上り階段では問題がなく下り階段で痛みが出ます。
膝は股関節と足首の影響を受けやすい
膝関節は棒の上に棒が乗っているだけのような不安定な構造で、安定性が必要な関節です。
股関節や足部は可動性が必要ですが硬くなりやすい関節です。

股関節と足首の可動性が不十分な場合、両者の間にある膝にねじれが発生します。このねじれをニーインと言い、膝が内に入ってねじれるため膝の変形を誘発します。


なぜ股関節や足関節がねじれるのか
股関節や足関節のねじれの原因は運動不足が最も多いと思われます。
厚生労働省によると運動不足の基準は1日8,000歩以下(65歳以上は6,000歩以下)ですが、歩数が少ないほど使わない筋肉はどんどん落ちて、伸ばさない筋肉は縮んだまま伸びなくなってしまいます。
すると重力に抗えなくなり、代償として関節を曲げて支持基底面を広げる姿勢へと変化していきます。

膝の動きに関わる10の筋肉
膝の動きに関わる筋肉は10ありますが、膝を曲げる動きでは9の筋肉が働きます。これらが適切に働かなければ関節に支障が出ることになります。
屈曲 | 伸展 | 内旋 | 外旋 | |
半腱様筋 | ||||
半膜様筋 | ||||
大腿二頭筋 | ||||
大腿四頭筋 | ||||
大腿筋膜張筋 | ||||
縫工筋 | ||||
薄筋 | ||||
腓腹筋 | ||||
膝窩筋 | ||||
足底筋 |
大腿神経への施術で膝の痛みを軽減させる
施術では痛みに焦点を当てますが、膝に関わっている神経の一つに大腿神経があります。
この大腿神経がどこかで圧迫されていると膝周辺の痛みにつながるため、腸腰筋・スカルパ三角・ハンター菅などを施術して神経を滑走させ痛みの軽減と可動域の拡大を狙います。
