肩こりが起こるのは、次のような悪い流れが続くからです。
筋肉が緊張する → 血の流れが悪くなる → 痛みの原因となる物質ができる → その物質がたまる → 筋肉が痛くなる → さらに筋肉が緊張する(この繰り返し)
筋肉がこると、血管が圧迫されて血流が悪くなります。すると、酸素が足りなくなったり、疲れのもとになる物質がたまったりして、痛みが出てしまいます。この痛みがさらに筋肉をこらせるので、どんどん悪化してしまうのです。

肩こりを自覚するまでの5段階
1. 筋緊張(筋肉が固くなる)
筋肉は縮んだり緩んだりして、体を動かしています。でも、同じ姿勢を長時間続けたり、体の使い方が悪かったりすると、筋肉が縮んだまま戻らなくなることがあります。
例えば、長時間座っていた後に立ち上がったら、ひざがまっすぐ伸びにくくなることがありますよね。これと同じように、肩の筋肉もこわばってしまうのです。
2. 筋疎血(血流が悪くなる)
筋肉がずっと緊張していると、血管が圧迫されて血の流れが悪くなります。これを「筋疎血」といいます。血流が悪くなると、栄養や酸素が筋肉に届きにくくなり、疲れがたまりやすくなります。

3. 痛みのもとが発生
血流が悪くなると、「発痛物質」と呼ばれる痛みを引き起こす物質が作られます。これにはブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリンなどがあります。これらがたまると、神経を刺激して痛みを感じるようになります。
4. 発痛物質がたまる
この段階ではまだ肩こりをはっきり感じません。でも、同じ姿勢を続けていると発痛物質がどんどん増えて、痛みが強くなっていきます。
5. 肩こりの痛みが出る
発痛物質がたまりすぎると、肩の筋肉が痛み出し、「肩こり」として自覚するようになります。
肩こりを予防するには?
肩こりを防ぐためには、日常生活の中で意識的に体を動かし、正しい姿勢を保つことが大切です。
1日8,000歩を目安に歩く
運動不足は肩こりの大きな要因です。厚生労働省のガイドラインでは、
- 20~64歳:1日8,000歩(60分以上の歩行)
- 65歳以上:1日6,000歩(40分以上の歩行)
これを目安に、日常生活に適度な運動を取り入れましょう。
深い呼吸をする
呼吸で使われる主な筋肉は「横隔膜」です。肺自体には筋肉がなく、横隔膜や周りの筋肉が動くことで空気を取り込みます。
- 息を吸うと、横隔膜が下がり、肺が膨らむ
- 息を吐くと、横隔膜が上がり、肺が縮む

腹筋がしっかり使えていないと、首や肩の筋肉が呼吸を助けるようになり、肩こりの原因になります。
肩こりがある人の多くは、呼吸が浅く、息をしっかり吐き切れていません。意識して5秒かけて吸い、10秒かけて吐くようにしましょう。
背筋の伸ばし方は「反る」ではなく「上に伸びる」
「胸を張って姿勢を良くしよう」と思うと、腰が反りすぎてしまうことがあります。すると、体のバランスが崩れて逆に肩こりを引き起こします。

正しい姿勢のポイントは、「背骨の軸を上に引っ張る」イメージを持つこと。無理に胸を張らず、体を上下方向に伸ばすことを意識しましょう。

毎日のちょっとした工夫で、肩こりを予防することができます。ぜひ実践してみてください!
正しい姿勢を保つためには、背骨の軸を上に引っ張るイメージを持つことが重要です。無理に胸を張るのではなく、背筋が自然に伸びるような意識を持ちましょう。